2021年2月 法隆寺

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2020年 見慣れた街角が、そして世界中の国々が、みるみるうちに様相を変え、
人影のすっかりなくなった風景が、あちらこちらに広がりました

これまでの過密なシステムや、あまりにも急ぎすぎている世界のスピードがいきなりストップし、これからの生き方や暮らし方を大きく変えなくてはならないと、世界規模の変革が少しずつ始まろうとしています

人類史に残る1年を終えて、2021年がスタートしました

松林の参道をくぐり南大門を抜けると、中門の背後に五重塔の尖塔が見えてきます

今年は、聖徳太子の1400年遠忌にあたり、パンデミックのさなかで記念行事も縮小される中、命日とされている2月22日に、法隆寺へお参りに行ってきました

太子は、推古天皇の御代に蘇我氏とともに日本の国づくりの基盤を築いた人物です
ブッダの教えの探究を礎として、日本ではじめての冠位や憲法を制定されました

歴史の教科書でもおなじみの「十七条憲法」 その第一条「和を以て貴しとなす」は、あまりにも有名です 日本人論を語る”和の精神”や”和の心”など、現代の私たちにとって今もなお、絶大な影響を及ぼしているといってよいでしょう

しかし、この条項につづく第二条を知る人は、そんなに多くないのではないでしょうか

国宝の金堂と五重塔 金堂には太子自身の像と言われる釈迦三尊像が安置されています

「篤く三宝を敬え」
これは、ブッダの教えの中核で、仏法僧を宝物としてよりどころとすることを意味しています

第三条が「詔(天皇の命令)を謹んで承る」ですから、天皇陛下のお言葉よりも上位にブッダの教えを掲げていることがわかります

飛鳥時代から現存している中門や古代ギリシャの流れをくむエンタシスの柱の回廊をめぐりながら、金堂そして五重塔へと進みます 法隆寺は世界最古の木造建築物といわれ、日本初の世界遺産にも登録されています

五重塔は仏舎利(ブッダの遺骨を納める建築物)で、インドをはじめとするブッダゆかりの地で、ストゥーパやパゴダと呼ばれる建造物の仲間です ”五”の意味は、万物を構成する四元素に、”空”をつけ加えたものと言われており、大乗仏教の流れをくむことが分かります

太子の遺徳を偲んで奈良時代に建てられた夢殿 天平建築の美しさを伝える八角円堂様式

なぜ現代まで、倒壊や焼失することなく現存することができたのか?

この建築群の謎の1つですが、聖徳太子をはじめとする、飛鳥の世の人々の純粋なブッダへの帰依心や国づくりへの大望が、今もなお天にそびえ、直立を支えているように感じられます

奇しくも、かの時代もまた疫病が蔓延し、政治の乱れを嘆く世相であったことは現代に通じるものがあります 貴族や官僚など一部のエリート層の改革のために取り入れられたブッダの教えですが、やがて民衆へと広く伝わるのは、鎌倉時代まで待つことになります

戦国の世に巻き起こった太子信仰の一大ブームは、もう一度、現代にもやってくるかしら… と思いを馳せつつ、1日も早い世界の安寧のために手を合わせるのでした