2018年1月 フルムーン in Thailand

1月
2018
01

恒例の瞑想コースに参加するため、今年はタイを訪れました ミャンマーと同じくテーラワーダの仏教国でありながら、その発展はすこし様相が異なっています

隣国どうし仲が悪いのはよく耳にする話しですが、この両国も残念ながら争いの歴史を抱えています スコータイからアユタヤにかけて栄えた王朝も、ビルマ軍に占領され滅亡してしまいます 今もなお、破壊され廃墟となった王朝跡が遺されています

戦乱により切り落とされた仏頭が、木の根元に残されたままのワット・マハータート

ブッダの瞑想法を何千年にもわたり保存し保護してきたビルマと違い、この国では心の清浄という伝統、ヴィパッサナーの智慧は次第に忘れ去られ、安らぎやリラクゼーションを目的とするサマーディ瞑想や、肉体を浄化する方向へと徐々に逸脱してゆきます 精神性よりも物質性に重心が傾き、それは現在のマッサージやヨーガ、様々なボディーワークの発生乱立へとつながっているようです

ここに、わたしたちが学ぶことのできる多くがあることに気づかれるでしょう わたしたちの心は見かけの事実に翻弄されやすく、物質への執着をなかなか手放すことができません 四六時中、体の面倒を見、粗粗しい現象に目を奪われ、落ちついて現象の本質を見通すような心を育てることが難しいのです 

スリランカから渡来した黄金の仏像がおさめられている ワット・プラシン

宇宙の理(ことわり)について、いまだ心眼の開いていない人のことを、”凡夫”と呼びます 個体性や個別性といった個我への固執が強く、人間本来の生き方へと心が開いてゆきません 宇宙の叡智を学ぶ最高のタイミングを迎えていても、世俗の因習から足を洗うことができません

これは、たとえ宇宙の最上の階梯に生まれ変われたとしても、その次元で ”観察する” という智慧が生じなければ、どこまでいっても ”平凡な生命体” なのです それほど物理の慣性から脱することは、ときに強い決意を必要とするのです

タイ古式マッサージの総本山として名高い、ワット・ポーの大涅槃仏

この国の寺院はどれも煌びやかで華やかです 数えきれないほどのジュエリーで彩られた寺院や仏像が並んでいます 心の純化の象徴である ”鉱物の結晶化” に魅了されたことも、この国の仏教の特徴と言えるでしょう タイの国宝、エメラルドブッダの伝説は有名です

心の浄化とともに、物質次元にもさまざまな自浄作用、化学反応が起こります この自己治癒の過程は、特に健康問題を抱える人にとってはたいへんな魅力に映るのでしょう 一過性のプロセスに決して惑わされることなく、どんな時も真直ぐな心で進んでゆきたいと、思いも新たにした旅路でした

新年の幕開けを告げる美しい満月の月光に浴しながら、今年も多くの人々にブッダの恩恵がゆき届きますようにと、願わずにはおれませんでした