2015年12月 ニュームーン in Kutch

12月
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わたしが今回、30日間のセルフ・リトリートを過ごしたのは、グジャラート州カッチ地方にある瞑想センターでした 砂漠地帯の中にあるオアシスで、ヴィパッサナーの全き垂線にささえられ、かけがえのない瞑想三昧の日々を過ごしていました

この州は、敬虔なジャイナ教の人たちが多く住むことでも知られています 彼らは厳格な菜食主義や不殺生、非暴力を守っており、ここはまた、言わずもがなのマハトマ・ガンディーの故郷でもあります

「インドの自由は、ここから始まったんだよ」 地元の人たちが、誇らしげにわたしに語るのがとても印象的です わたしはすでにデリーで、彼の墓前に挨拶を済ませていましたが、数年前、偶然糸つむぎの手ほどきを受けた際、”何故、彼のチャルカ思想が、わたしの元にもやってきたのだろう…” と、不思議に思ったことを想い出していました

部族や家系に伝わる伝統の図柄を、昔と変わらぬ手法で丹念に織りあげてゆきます

街はずれの村々には、アウトカースト(不可触民)の人々が住み、ガンディーは彼らのことを「ハリジャン」(神の子)と呼び養護しました インドを旅していると、この身分制度についてはどうしても触れざるを得なくなります 信仰と複雑に絡みあった人間のルールは、宇宙の真理からはほど遠くかけ離れていることを改めて思いながら、彼らの伝統の美しい手工芸の数々に、すっかり心をうばわれていました

ガンディーは、ラマナと同時代に生きたインドの偉人ですが、彼はアルナーチャラを訪問することを切望していたと耳にしました ラマナアシュラマムのダイニングホールにも、彼の写真が飾られていますが、その想いはついに実現しませんでした 一説によれば、政治活動に力を注ぐよう、側近たちが必死に食いとめた、というのです もし2人の会見が実現していたら、インドの歴史も、少し変わっていたかもしれないですね

聖なる鳥として敬われる孔雀 真実を伝えるモティーフとして変わらず伝承されています

ここカッチ地方には、インドでも有数のハンディークラフトヴィレッジが点在し、美しいテキスタイルを求めて、世界中からバイヤーや愛好家たちが買いつけにやって来ます 紀元前から続く伝統の技は、女性たちの手によって大切に守られ、受け継がれてきました

古代の賢女たちは、宇宙の真理を1枚の布に織り上げ、子々孫々に継承したと言われています そこにはいつも「Tree of Life」(生命の樹)が刺繍されているのですが、わたしの訪ねた集落では、1対の孔雀が図柄として描かれており、それはわたしの興味を大いにひきつけるものとなりました

村の女性たちは、美味しいチャイやグジャラーティー・ターリーを給仕してくれ、次回の訪問では、糸つむぎや機織りの手ほどきをしてくれることを約束してくれました ここは、良質な綿花がとれることでも有名なのです また1つ、わたしには還る場所ができたようです

老賢女と呼ぶにふさわしいたたずまいの村の女性 深く鋭いまなざしが印象的でした

男性賢者をめぐるインドの旅路も、そろそろ終わりに近づいてきました 彼らからの、一分の狂いもない教えは、わたしの心と体を真っすぐに貫き、目の前に続く1本の道を、さらに明るく照らしてくれるものとなりました この深い味わいを反芻しながら、これから用意されるタイミングの中で、多くの方々との分かちあいが生まれるであろうことを想いながら、帰国の途についたのでした