2017年11月 フルムーン in Burma

11月
2017
03

3ヶ月にわたる雨安居明け 乾季の始まるミャンマーの秋は、満月のお祭りで彩られます

ブッダの時代 彼の秘書をつとめていた従兄弟のアーナンダがブッダと交わした、たいへん有名なスッタ(経典)が残っています

 ”善い友と出会うことができれば、瞑想修業の半ばを達成したことに等しい” アーナンダはブッダに問いかけます しかしゴータマ・ブッダは、その言葉を諭します
”善友に巡りあうことは、瞑想の道のすべてを完成したことに等しいのだよ” と

わたしたちが出会う1番の朋友は、紛れもなくブッダご自身です わたし自身、彼の生徒となってから、人間関係のすべてが一変してしまいました 想像も及ばないような方々との交流が始まり、それは今回のミャンマーの再訪につながっています

インジンビン村にあるパリヤッティ僧院 ビルマ様式の寺院が出迎えてくれます

ブッダのさらなる庇護と友愛を求めて、わたしは悟りの最高のステージを修めた比丘の僧院より、滞在の許可をいただきました

悟りの最高峰を極めた聖者の方を、テーラワーダの伝統では ”アラハン” と呼びます 自然の法則では、心の浄化には4つのステップがあり、その順に沿って人は心の進化をたどってゆきます 現在ブッダの教えの続く5千年期の半分以上が過ぎ去っていますが、第2期の始まる2,500年の節目のころ、この国には多くのアラハンがいらっしゃいました

それは第2期のヴィパッサナーの幕開けを告げる、輝かしい時代の到来を意味するのですが、世界は大戦に明け暮れるという暗い時期でもありました エタニティでご紹介しているヴィパッサナーのテクニックは、サヤジ・ウ・バ・キンという瞑想者の伝統によるものですが、彼もまた、この新しい時代のパイオニアでした

僧院内のロータスポンド 早朝には美しい蓮の花が咲き、沐浴の姿も見られます

わたしたちが仰ぐグランド・ティーチャーである彼は、かの時代のアラハンのお1人、
ヴェネラブル・ウェブ・サヤドーとの親交を育みました これはミャンマー国内でも稀有な逸話として、今もなお語り継がれているものです わたしは、この聖者が生まれ入滅した村にある彼の僧院へと赴きました ここはアラハン存命の時代から、ミャンマー国内はおろか、世界中から人々を惹きつけてきた聖地であり、現在も多くの瞑想者たちが来訪し、その訪問が途絶えることはありません

田んぼとピーナッツ畑が延々と続くのどかな風景は、どこかなつかしい郷愁を想わせます まるで、ブッダガヤのお隣のセーナー村を歩いている時のようなデジャヴに駆られました 現在でも交通の不便なこの場所に、かつては多くの群衆が集まり、大僧正は日に10回近くも人前で講話をしなければならなかったと聞きます

チャウセにあるパティパッティ僧院 聖者が4年間瞑想修業をしたケーヴ(洞窟)

僧院の1室をいただいて瞑想を始めると、今もなお聖者の波動がわたしたちを教え導いてくださることがよくわかります

輪廻転生の束縛から完全に自由となった生命 彼は、ブッダの無上の教えであるサーサナが、今この時代この惑星に力強く降り注いでいること、わたしたちが正しい時と場所に人として生きている幸運を、くり返し説きつづけてくださいました

新月と満月、そして上弦と下弦の月齢を迎えるウポーサタの日には、近隣の村人たちが行進する太鼓の音が、おごそかに響きわたります 人々は僧院へと集い、布施をおさめブッダの教えを聞いて八戒を守り過ごします 連綿とつづく見事な習わしの中に身をおきながら、ビルマ中が光に包まれる灯明祭の美しい満月を心に浸透させ、このゴールデン・ランドをふたたび後にしたのでした