2014年11月 サイレントリトリート in Kerikeri

11月
2014
07

初夏の太陽が日に日に輝きを増す南半球の島国、ニュージーランド
その最北に位置するケリケリという小さな町で、サイレントリトリートを開催しました

この数日前、わたしは日本からの参加者をお迎えする準備のために、海へ出かけました

ちょうど、子育て中のボトルノーズドルフィンたちのポッド(母子の群れ)に遭遇し、並んでボートを進めました 母親たちを心配させないよう、最初は海に入らなかったのですが、人なつこい彼らは私たちの周りから離れず、お言葉に甘え(?)少しだけ一緒に泳がせてもらいました リトリートへの準備が心身ともに調えられたような、平和で穏やかな、そんな午後のひとときでした

春から夏にかけて イルカたちにとっては出産と子育てのシーズンです

参加者の皆さんは、それぞれの想いを胸に、ここにたどり着くまでに、様々な思考、感情、そして体の痛みといった荒波にさらされておられました ケリケリに到着され、安堵の呼吸がよみがえり、少しずつゆったりとしたこちらの空気に溶けこんでいかれました 

普段、何気なく過ごす”日本”という場の日常の中で、どれほどこの枠組みに寄りかかり生きてきたかを実感される方もいらっしゃいました ”ここに到着するまで、決して自身の呼吸を忘れないように” とアドバイスをさせていただいていましたが、いつもの言葉や習慣は通用せず、緊張の連続だったようです

少人数の開催でしたので、瞑想する時間を多くもうけ、普段のわたしの日常と同じ体験をしていただきました

安らかな沈黙のただ中で、皆とただ坐る時間 何も着飾ることのない、裸の呼吸…

どの瞬間も、幸せで満ちているという事実を確かめられます こんなにも多くをいただいているのに、私は一体何を返しているだろうか?と、深い問いを持たれる方もいらっしゃいました これは、素晴らしい気づきです

二股の糸杉が貫くウェルネスセンター 毎日ともに坐り、分かちあいの時を過ごしました

私たちは、ただ受けとることしかできないこと
怖がらずに、ただ静かに、この器を開いてゆくこと

それしかできないのだと気づく時、私たちが受けとったものだけが、さらにそれを必要とするところへと自然に流れてゆくのです だからこそ、私たちは深く頭を垂れ、この瞬間への謝意をあらわすのかもしれません

瞑想生活が進むにつれて、体の痛みや心の凝りが、少しずつ溶け去ってゆくのを観察しました ウォーキングメディテーションでは、前後や左右に重心を傾けず、心と体をぴったりと中心に一致させ歩く時、こんなにも心地よく安心感を生むのだと実感される体験もありました 言葉やテクニックではとうてい得られない直接の叡智を通じて、より細やかな感覚を信頼し進む勇気についても分かちあいが生まれました

ケリケリ川沿いのブッシュ 初夏の木漏れ日の中、皆でゆっくりと静かに歩きます

中秋の名月と並び美しい月が楽しめるという「十三夜月」
171年ぶりと言われるミラクルムーンが、分かちあいの後の私たちをやさしく包み、静かに照らしていました

サイレンスが解かれる最終日には予定を変更し、リトリートセンターの近くにあるオーガニックレストランでランチを楽しみました 現地の日本の方とも合流し、和やかな分かちあいの時が流れました

地元で人気のカフェ

原生林に囲まれて食事が楽しめる ローカルで人気のカフェ

今回のリトリートを通して、「開いているのに、尚かつ何もしない」という在り方を、深く体験する日々となりました

迷いや疑いが生まれれば、いつでも呼吸へ戻る 自分自身の息吹きを拠りどころとすることの大切さも、あらためて確かめることができました

リラックスした心身とともに、自分自身の胸の奥に在るもっとも大切なものを護り、それぞれの参加者がそれを確かに育んでゆくことを願わずにはおれない、そんな4日間でした


入植当時の面影をのこすミッションステーション 最古の建造物などが見学できます