2013年10月 サイレントリトリート

10月
2013
19

静かな雨の降る新月の午後に、オープンサークルを開きました 本当のわたしと内側で直接出会うこと、そしてそれをそのまま生きることは、1度の人生で2度この世に生まれることに例えられます 本当のわたしの人生を生きるために、私たちは少しずつ、幻のわたしの死を看取る準備をします そこには、想像を超える恐れもやってくるでしょう そしてそれは、最奥に眠る真の勇気が目ざめる瞬間でもあります 私たちの思考や分析ではとうてい理解することのできない、すべてのコントロールから解放される瞬間 この本来の生命力が息を吹き返す準備が、満月へ向けて淡々と進んでいることを感じるひとときでした

ウォーキングメディテーションで皆と歩いたあぜ道の風景 北アルプスの山々をのぞみます

台風が過ぎ去り、真新しい秋の空気が広がる安曇野で、サイレントリトリートを開催しました

このリトリートでは、沈黙の中で思考や感情を観察し、どのような創造が起こってもすぐに呼吸へ還ることを意識して過ごしました わたしたちの心と体は、何もせず静かに過ごすことが何よりも苦手ですから、あっという間に嵐を起こして、おなじみの言葉の渦に私たちを巻き込みます そのことに翻弄されたとしても、幻のわたしの涙ぐましい活動に微笑んで、また最初からやり直してゆきます

坐ること、呼吸すること、そして、内に流れる雄大な道を感じながら、ゆっくりゆっくりと歩むこと… どのような瞬間も、ていねいに内側とともに過ごすことで、これまで気づくことのなかった真実に、当たり前のように出会ってゆきます 数ミリ単位で体の調整が行われ、自然と美しくまっすぐな姿勢に出会われる方もありました それは、私たちが最もくつろぎリラックスした呼吸のできる、何より美しい調和の形でもあります お茶をいただく時間も、本当のわたしと深くつながりながら、安らぎと静けさと感謝の中で過ごします 一服のお茶が、体の中をすっと流れてゆくのを味わいながら、今この瞬間のわたしとつながることが、まわりのすべてとのコミュニケーションの実を結んでいる様を楽しみました

シャロムの意味は「平和」 セルフビルドで建てられた木のぬくもりが感じられるお宿です

分かちあいの時間では、私たちの心と体からあふれ出る言葉や表現を、勇気をもって形にするプロセスが続きました 私たちは洋服を着るように、心の見られたくない想いを隠せていると思っていますが、本当の想いは決して隠すことなどできません どの瞬間にもあふれ出るそのエネルギーは、言葉にならない言葉として訴え続けられます それをそのまま、ありのまま表現する瞬間が、参加者のすべての協力で生まれました それは、何十年にもわたって私たちの奥にしまわれた、魂の叫びのようにも聴こえました

その言葉に感動する人、深く傷つく人、腑に落ちる人… 私たちの心と体は瞬間瞬間、外側の現象に反応し、刻まれ、傷つくように創られています しかし、本当のわたしはかすり傷ひとつ負うことなく、ただただ満ちて穏やかに在り続けます それを直接内側で確かめられた時、私たちの心と体は自然に開かれ、あらゆるものがわたしを通り過ぎ、刻み、傷つけ、体験が起こることを許していくのです

そのことを真正面から受けとめ、この静寂の大仕事に圧倒される方もおられました それはまるで、地球の回転を素手で止めるようなものかもしれません しかし向かうところは、たった1つの真実のみ すべての存在に平等に開かれている、今この瞬間の広がり、恵み… それは決して誰にも知られることなく、たった今にしか開かれることのないもの そして永遠に開かれているものです

このリトリート中、終始、静けさの中にもお隣の森の幼稚園から、子どもたちの元気な声があふれていました また、私たちの歩みを、たくましい大地のように支え続けてくれた美味しいお食事の数々 命に満ちた食べ物は、少量でも充分に私たちに滋養を与え満たしてくれることを実感する毎日でした ありのままの命たちが、私たちを温かく見守り続けてくれました そして同じように沈黙の中で、私たちの歩みを静かに温かく支えてくださったシャロムヒュッテのスタッフの皆さまにも、心からの感謝を贈りたいと思います 本当に、ありがとうございました

命あふれるお食事の数々 石釜のピザもおすすめの一品です